コミックビームの放浪息子

今月で一気に話が動いた。
ついに、ついにやってしまった。
これまでずっと箱庭の中にいたのに、
外に飛び出してしまった、見つかってしまったという感じ。


にとりんは「女の子になりたい」という。
だからといって、性同一性障害のような感じではない。
高槻くんをかっこいいとは思っても、男を好きになったことはない。
可愛いものが好きだとか、がさつな男子が苦手だとか、
可愛い自分を見るのが好きというだけ。
そんな簡単に言い表せない心境を、
これまでの周囲の人間は皆なんとなくわかっていた。


しかし、今回の事件で校内に噂が広まれば、
性同一性障害だとかホモ疑惑といったことが、
否が応でも出てきてしまうのでないだろうか。
これで晒し者になることで、
「自分が何者になりたいのか」
ということを今よりも考えるようになるのかな?
「ユキさんに憧れてはいても、ユキさんのように生きたいと思っているのか?」
とかそういうこと。


僕は「放浪息子」というタイトルからこの漫画は、
他人とは考え方の全然違う修一が、
この先どのように生きていくのかを、ある程度決めるまでの物語なのだと思った。
だからもし、自分が何者になりたいのかという問いについて考える展開になるならば、
もう話が終わりに向かっているということになる。


しかしこれまでのパターンからすると、
「散々怒られてしまった。お姉ちゃんには殴られた。」
程度で終わるだけで、学校では噂にならない可能性も考えられるが…
その場合は土井ともうひと悶着か。


事情を知っている周囲の人間は、今回の事件にはどういった反応をするだろう。
高槻くんは自分のせいでもありそうだと悩みそう。
マコちゃんは羨ましがりつつも説教しそう。
千葉さんはどうだろう?土井が原因だとわかれば殴りに行きそうではある。
安那ちゃんがわからない。
ここまでやっても「面白いやつ」の範囲でいられるのだろうか。
お姉ちゃんは怒るだろうけど、親にも怒られる展開になったら
少しは庇ってくれそうでもある。


修一が、「大丈夫だ!できる!」と思ってしまった過程も面白い。
ちーちゃんと高槻くんの学ラン登校。
ずっと敵のようだった土井の女装に対する反応など。
コミックス読み返したくなった。次の刊も早く出てほしい。