主観の入った神の視点ってどうなんだろう?(ハンター×ハンター)

今週のジャンプでHUNTER×HUNTERを読んでいて気になったのだけど、

シャウアプフ「もっと慎重に行動するべきでしたね。完全な失態だ」


ナレーション「モラウの行動のタイミングは絶妙だった。
        (中略)
       モラウの経験によって仲間達は救われたのだ」


ってな感じのシーンがあったわけだけど、
どちらかに肩入れするような、主観の入ったナレーションってどうなんだろう?
これまでナレーションは、各キャラクターの心境や、全体の状況を事細かに語っている。
つまりは「ナレーション=神の視点」と思われるわけだ。
そして、神の視点というのは常に中立の立場で物事を見るべきである。
あれがベストな選択だったということにプフは気づいていないし、
モラウ自身も無意識下で選んだことだから、本人達の台詞では説明できない。
だからナレーションで「あれは良い選択だった」と解説、
っていうのはどうにも手抜きに思えてならない。
そもそも、漫画というのは小説と違って、読者が神の視点に近づいた状態で読めるものだ。
だから、神の視点のようなナレーションを入れること自体に違和感があるのだが。
せめてあの部分のナレーションだけでも、
最後に「生存者○○の手記より」みたいな文が付いていれば納得できるんだけど。


そもそもあれが神の視点であると明言はされていないから、
千里眼と読心術の念能力を持った傍観者がいるという可能性も残されているな。
ただ自分には、“神の視点”と見せかけた“作者の視点”に思える。
こう考えてくださいよ、こういうことなんですよ、という。
直接言葉で伝えずに、台詞や画、演出で理解させるのが
漫画という表現の醍醐味だと思うんだけどなあ…